構造性能の解析は、製品開発における数あるプロセスの1つにすぎません。製品開発技術者の仕事は、応力、質量、信頼性、その他の必要条件を満たすための部品改良案を提案することですが、その一方で、より短い設計サイクルで最適設計を生み出す努力もしなければなりません。
そうしたなかで、高度なシミュレーションテクノロジーを用いた設計最適化は、個別の企業に留まらず、多くの産業で標準的な設計プロセスとしての地位を確立するまでになりました。
本スタディガイドは、OptiStructで利用可能な最適化手法の概要を紹介することを目的としています。執筆にあたっては、最適化という魅力的な世界のことをもっと知りたいと思っている初級者のニーズや疑問点に応えることを重視しました。
本書には、トポロジー、トポグラフィー、寸法、形状、複合材といった多様な最適化手法の紹介だけでなく、厳選した架空の実践例に関する詳しい解説もあります。それらの実践例では最適化問題の定義、つまり最適化のセットアップを中心に説明しています。形状のクリーンアップ、メッシング、メッシュ品質のチェック、材料とプロパティの定義、荷重や荷重ステップの設定など、最適化の前工程に関する作業手順の説明は、あえて省きました。これらの手順については、無料のスタディガイド『有限要素シミュレーションの実践』で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。
本書の価値を高めている最も重要な章は、「構造最適化の基礎知識」です。この章は、ヴッパータール大学機械工学学部に所属し、機械構造最適化チームのリーダーを務めるAxel Schumacher教授(Gaussstr.20, D-42119 Wuppertal, Germany, www.oms.uni-wuppertal.de)の執筆によるもので、最適化の一般的な理論に焦点を当てて解説されています。
*本eBookは2020年のHyperWorksを使って執筆されているため、最新版のインターフェースとは異なります。